CAUTION!
YAMAHA XS750 SPECIALというオートバイを購入したものの、資料となる本が皆無なのに気がつきました。WEB上でも海外に専門サイトがあるようですが、英語やドイツ語なので詳しい内容がわかりません。
KAWASAKIのZシリーズやHONDAのCBシリーズのような人気のある絶版車だと、今でも雑誌で紹介されることが多いのですが、XS750
SPECIALのような不人気車では雑誌に載ることもほとんどありません。
そこで、XS750 SPECIALのインプレッションが掲載されたライダースクラブを入手いたしましたので、その記事を抜粋して紹介したいと思います。
なお、著作権等の関係で問題が生じることも考えられますが、XS750 SPECIALのすばらしさを世に知らしめたいと思い、アップロードをしております。

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(以下、ライダースクラブ 1978年7月号より抜粋)
フロント・リーディングアクスル、短く断ち切ったメガホンマフラー、そしてキング&クイーンシートが異色だ。
エンジンの基本レイアウトはDOHC方式の3気筒、クランクシャフト・アングルは120度に配分されている。
クランクシャフトは一体構造だ。従ってクランクは4点のプレーンベアリングで支持され、コンロッド・ビッグエンドも当然プレーン・ベアリングが使用されている。
2本のカムシャフトは、クランクシャフトの左端からシングルチェーンでドライブされ、タペット部はシムでクリアランスを調整するバケットタイプを採用し、バルブの追随性とメカの信頼性を向上させている。
燃焼室形状は76年初期モデルが半球形燃焼室であったものを2球形式に変更している。2球形式とは、吸排気の各バルブステムの延長線上に中心線をもつ燃焼室で、性能向上に効果を上げるといわれるもので、76年モデルから採用されている。
76年モデルの60PS/7500rpmに対して、77年モデルは67PS/8000rpmと大幅に性能を向上させた。この主な要因は、前期の燃焼室形状の変更を含め、エアクリーナーの大型化、キャブレターの口径増大、高圧縮比、減速比の変更などによるものである。だが、このXSスペシャルでは、独特なスタイルのショート・メガホン形デザイン・マフラーの採用で、容積の減少からピークトルクが6.4kg-m/6500rpmから6.3kg-m/6500rpmと僅かに減少し、結果的にピークパワーは1psダウンした66ps/8000rpmとなった。だが、トルクカーブは低速から中速へのウネリも少なくなり、なめらかなレスポンスを発揮するようになっている。
潤滑と動力伝達系
エンジン潤滑方式は強制圧送ウェットサンプ方式で、シリンダーヘッド、クランクシャフト、ミッションの各部が潤滑される。エンジンオイル容量は3.5リットルで、オイルレベル点検窓がクランクケース側面のブレーキペダル側に新設されたので、外部から一目でレベルや汚れが確認できるのできる。
一般的なチューンドライブの車なら、潤滑はエンジンをミッション関係に限定されるので保守点検は比較的容易に終わるのだが、このシャフト、ドライブ車はリヤのドライブニットの潤滑も重要なポイントとなる。
ことに、ヤマハのシャフトドライブ方式は横置きのクランクシャフトからミッションに伝えられた駆動を直角に方向転換し、ドライブシャフトを駆動する必要性から、ミドルと称するベベルギヤ組み込みのギヤボックスを設定。そのため、合計3個所のオイル点検と交換が必要となる。
なお、これらのオイル量やグレードの正確なデーターとして、エンジンオイルについては、
オイル交換のみの場合は 2.8リットル
オイルフィルター交換時 3.2リットル
エンジン、オーバーホール時 3.5リットル
オイルのグレードは、ヤマハ指定4ストロークオイルで、夏期(5℃以上)20W 40
冬期(15℃以上)10W 30
が指定され交換時期としては、新車からの初回は1000km、以降は3000km毎。オイルフィルターエレメントについては、初回1000km、以降6000km毎。
またミドルとリヤのギヤボックス用は、ミドルー375cc、リヤー300ccで、グレードはヤマハドライブシャフト・オイル、#80ハイポイドギヤ・オイル、が指定されている。このように、ミッション以降のギヤは大きい負荷が掛かることから、特に粘度の高いオイルが指定されているので、エンジンオイルの使用は禁物である。
なお、これらの交換時期は初回1000km、以降は10,000km毎になっているので、チェーンドライブの保守点検の頻度に比べれば、実質的には、メンテナンスフリーといえるものであろう。
動力伝達系の流れをみてみると、クランクシャフトの出力はプライマリーチェーンとクラッチを介してメインアクスルに伝わる。メインをドライブアクスルの間は5段ギヤで結ばれ、そこで減速されトルク変換された出力はミドルのギヤハウジングに入り、そこからシャフトドライブによってリヤに送りだされる仕組みになっている。エンジンとクラッチの間の一次減速比は、ハイボチェーンを介して1.666にとられている。
ミッション内部での変速比は、1速2.461、2速1.588、3速1.300、4速1.095、5速0.956に配分されている。リヤのスパイラルラベルにおける二次減速は3.582。従って、5速での総減速比は約5.71となり、初期GXモデルの5.20に比べて、かなり大きくなっているがこのセッティングの変更は、パワーアップと相まって、GX750 型以降のスポーツフィーリング向上に大きい役割を果たしている。
キャブレターは急速なアクセル操作にも追随性の良い負圧式可変ベンチュリー型の3連装。ボアは34mmでスターターバルブ方式である。
華やかのボディの仕上げ
スペシャルのエンジンユニットは、GXの黒一色の精悍なムードから一転して、銀色のゴージャスな印象を受ける車に変身した。この点については、シンプルデザインした化した燃料タンクを含めて、コストダウンではないか、という若いライダーの声を2ー3耳にしたが、それについて、ヤマハは真向から反論している。
つまり、アルミ鋳肌をきれいに見せることはかえってコストはかかるというのである。また、シンプルな形状と単色の塗装のタンクについても、深みを品位を感じさせる手のかかった塗装であり、ライン引きや塗り分け以上のコスト高になっていることを強調している。
たしかに、シリンダーヘッドやクランクケース、サイドカバー類の磨きや、塗装を眺めてみれば十分に納得できるものではあるが、一見した場合、そのような声があってもうなずける気がする。しかし、ちょっと見にはわからないところに手の掛かった車に乗る満足感…。それがヤマハのいうところの ゆとりの世界ということなのだろうか。
それと同時に、黒一色のハードさとメカニカルな重苦しさ、冷たさに抵抗感を感じる層には、このスペシャルは受け入れられる車であることは確かで、何かリラックスした気分で接することのできる車であると感じているが、ある部分、例えば思いきって断ち切られたようなテーパー状のメガホンマフラー、デザインは、この車がかなりスポーティーな若者向きの車のように思える。そうかと思うと、キング・アンド・クイーンと称する段付きシートを見ると、ノンビリしたペアツーリングに向くような気もする。というように、複雑な心境になる車でもある。
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フロントフォークが特徴
このXSスペシャルのメカニズムに関しての大きい変更部分は、フロントフォークである。GXではフォークチューブ先端に配されいたフロントアクスルをオフセットし、リーディングアクスル、タイプとしたことだ。これによって下に伸びたアウトチューブの部分におけるスプリング長やオイルの増加、ホイールトラベル増大が計れる利点が生じる。また、フォークチューブが長くなれば、インナーとアウターの嵌合部が長くとれ、強度的にも作動的にも有利になることだ。
だが嵌合部のスラストベアリングは、より作動抵抗の少ないDUメタルを採用し、そのスムーズな動きを確保しているDUメタルとは、プレーン、スラフトベアリング材の摺動面に多孔質青銅を焼結し、テフロンと鉛の混合物をさらにその表面に浸み込ませ焼き付け加工したもので、基本的には油気のない部分を使用できるドライブベアリングのことである。
一般に、フォークのベアリングは、潤滑や砂泥などの異物の噛み込みなどでシビアな面があるが、このDU
メタルは、この点に強くしかも摩擦抵抗が非常に小さいという、うってつけの特徴を持つものである。従って、嵌合長の増大とDUメタルの相乗作用で、フォークの作動特性が向上し、リーディング、タイプの次点は気にならないでまでになっているといわれている。
その他の改良は、フレーム関係にもあり、スイングアームのピボット回りの骨組みに変化がみられる。GXのものは、ラグを用いてピボット回りにつき合わせた構造であったが、XSではパイプをストレートにつきあわせている。従って、リヤステップ回りもスッキリした構造になっている。
一般的には車の操安性は、ステアリング、ピポッド部の剛性に大きく影響されるといわれているが、その理由からこの車には、これらの部分の軸受に高過重に耐えるテーパーローラーベアリングを採用し、可動部分の剛性向上が計られている。
また、フレーム全体の構造も、ねじれ剛性の高さはもとより、サービス性の面からも、エンジンを搭載したままで、シリンダーヘッド、シリンダー、ピストン関係の接着可能なパイプワークになっている。さらに、各部の強度は、一般的なオプション、アクセサリーを装着しても充分耐え得るだけの余裕をもたらせるものになっている。
エンジンユニットは、このフレームにエラスティック、マウンドと称される方法で搭載されている。これは、エンジン前方では弾性を持つプレートを、後部ではダンパーラバーを介してマウントする方法で、エンジン振動を吸収し、ソフトなフィーリングを生みだすように考慮されているのだ。
エキゾーストパイプの流れは、右側へ2本左側へ1本の3into2という変則的なものだが、吸排気系に与える悪影響はほとんどないという。そしてさらに、マフラー部入り口で左右がパイプでジョイントされ、中低速トルクと消音効果の向上が計られている。
車体右側のサイドカバー内部は、トランジスター点火ユニット、スターターリレー、リヤブレーキ用マスターシリンダーなどが納められている。また左側には、各ワイヤーハーネス、コレクターや整流器とレギュレーター素子ユニットが配されている。
バッテリーやヒューズ関係は横開きシート下に配され、保守点検は容易だ。また、ツールもここに同居している。ただシートの下組ワイヤーの類など、舞台裏の整理については先月号のGS550に一歩譲るところがあるようにだ。しかし、シートロックのキーを左に回せば、独立してヘルメットホルダーが口を開くなど、憎いアイデアも多い。
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いい感じの3層重ねシート
車に跨がってみると、この新設計のシートは、ヤマハが自慢するだけのことはあって、適度な張りとソフトさがマッチングしていていい感じだ。内部構造はウレタンフォーム、フォームラバー、スポンジラバーの3層重ねだ。
シート高は810mmでそれほど高いものではないが、170cm程度の身長では爪先立ちの感じになる。できれば800mm以内に抑えてもらいたいところで、これは国産大型車に共通した課題でもあり、海外でも指摘されている部分でもある。ことにシート高の低さについては、過去の250cc級では最も低くて、女性ライダーにも人気のあったヤマハのことだ。このあたりの見直しが欲しいと感じている人は少なくない。
ハンドルはやや大型で、全体にゆったりしたライディングフォームに落ち着く。ハンドルグリップ、ラバーは、以前の発表会の席で気付いたことだが、右と左の素材に差のあることだ。これは、右がアクセルと一体化する必要から、ややプラスチック成分の多い感じがする硬い感じに対し、左はグリップ効果の高いゴム質を感じるものになっていることだ。
この差は一見して判断がつかない程度のものだが、当然スナップ操作の必要右側にも手に吸着の良いものが欲しいところだ。だが、バタフライタイプのスロットルバルブを持つこの車のアクセルは、3気筒ということもあって、非常に軽快に作動するので、これが原因でアクセル、フィーリングを悪くしているということは全くない。それよりも、グリップの良い左側のラバーにネジレが生じる現象のほうが、はるかにこの車の高級感を傷つけることになっている。
ハンドルスイッチ関係は、平均値的なレイアウトである。ホンダと同様にヘッドランプ、スイッチだけを右手側に配したのも、左手側に集中しすぎて扱い難さの生じることを結果的に防いでいて、悪くはない。だがオフの位置にストッパー機構のないこと、その位置がホンダ系の逆グリップ側にあることで、無意識のうちに触れ、昼間点灯の状態を生じる可能性の高いことが考えられる。できれば段付などによるストッパーの欲しいところである。
レバー関係は、特筆できるほどの合理的な形状と仕上げを持っている。見た目には、このレバーいかにもゴツイ感じだが、指掛かりは確実で、滑るという感じが全くしない。またこのブラックコーティング処理は一般のビニールコーティングのように経年変化による黄変やひび割れの心配もなさそうだし、アルミ素材むき出しのもののように手袋が黒くならない良さも持ち合わせている。
メーターは、左が180kmフルスケールのスピード。右が1200rpmフルスケールのタコメーターでレッドゾーンは9000rpmから始まり、内部にはニュートラルとハイビームのパイロットランプが組み込まれている。
メーターケースは、ヘッドランプナセルと同様にクロームメッキ仕上げ。クロームフェンダーやランプホルダーなどと共に、かなりヘッド回りは、キラキラムードの華やかな車をいう印象を受ける。
新設計のティア・ドロップタイプの燃料タンクは17リットルの容量を持ち、内股へのフィットも良く、またステップ回りの処理も完全で、足元に抵抗を感じる部分は何もないほどよく整理されている。燃料コックは負圧式のオートコックが左右に配され、扱い易さをオーバーフローなどのトラブル防止という確実な配慮がなされている。
2個のメーター間のパイロットは、フラッシャー、オイルプレッシャー、速度警告灯と縦に並ぶ。中央オイルパイロットは、ストップとテールランプの断線警告灯も兼ねる。
確実な始動だがチョークはスターターレバー方式で、キャブレター左側にあるレバーを上から横に押し開くように操作する。構造的には、リンケージを介して、3個のキャブのスクーター回路が一斉に開かれ、濃い混合気がエンジンに送り込まれる。なおレバー作動は二段に動き、冷期の始動には一杯外側まで押し、始動後は中間に感じられるストップ位置まで戻して、ウォーミングアップするようになっている。
この車の始動性は確実である。冷期時はアクセルを全閉にし、確実にスターターレバーを操作すれば、クランクシャフトが2〜3回転する間に始動する。そして、指事されたようにスターターレバーを一段もどすが、アイドリングは2000rpmを超える早さで自動的にホールドされ、暖めるコツを必要としない。ただ、いくら排気音やメカノイズが静かだとはいえ750ccのエンジンを住宅街で暖め続けるのは、かなり気の引ける作業である。できればすぐに走り出したいところだ。
このような時に扱い易いのがスターターバルブ方式を用いたキャブの利点であるということを常々述べてきた。だが、どういう訳かこの車は、走れば走るほどのトルクを発揮してくれない。かなりアクセルを開けても完全にストールしてしまい、大きくふらついて転倒寸前の状態になったことを、この試乗車に乗った2〜3の人たちが同じ証言をしている。この点について、ヤマハは否定しているが、いうなればセオリーからはずされた便法的な使用法は問題にするほどのこともないというのだろうか。
もちろん完全に暖まった状態では全く問題なく、3気筒特有のフィーリングで力強くスタートしてくれる。
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まあまあのシフト感
エンジンの振動について 、ひとことで表現すれば角のない振動といえ、当然ではあるが2気筒にも4気筒にもない特有のものだ。また、アクセル、レスポンスについても同様のことがいえ、その手応えは、かなり硬い感じの力強さとして身体に伝わる重みがある。
クラッチの操作は特に軽快というものではないが、切れのよい感触は、非常に好感が持てる。つながる味も、シャープとソフトが適当に同居しているという感じのもので、扱い方によってはどちらの味も引き出せるものを持っている。
1ダウン4アップの5段ミッションは、タッチがやや硬目で、その作動のけじめがはっきりブーツの革を通して感じられるフィーリングを持ち、ペダルの操作角も狭い部類のものではない。ことに、ニュートラルから1速への最初のシフトは、かなりの音を伴うショックが発生する。だが、その状態でもう一度シフトを繰り返すと、ショックの発生はない。ということは、クラッチやメインシャフト、ギヤなどを含めたミッション内部のイナーシャーが大きく、クラッチを切った直後には、かなりの回転が残っていることも考えられる。またこれには、一次減速の1.666という比較的小さい減速比が影響し、ミッション内部の回転が全般に高いからではないか、とも想像できるような症状であった。
だが、これは、あくまでもニュートラルと1速間だけに感じられるフィーリングの問題であって走行には何の関係もないことだ。走行中に感じたミッション関係の問題をしては、シャープなコーナーへ突っ込みに際しての連続的なシフトダウン時に、3速〜2速間と2速〜1速間などの低ギヤでは、ともするとギヤの入りが硬く、最悪の場合は、そのタイミングを逸すると、ニュートラルになりやすい傾向があったことだ。
もちろんこの症状は、ヤマハのテストコースをかなりハードに攻めた場合はないといえるのだろう。ただ、そんな傾向が乗り方によっては感じられる。
シャフト、ドライブ車のミッションの造りは独特の難しさがあるといい、BMWのミッションを“旋盤の切り替えギヤの様だ”と厳しい評価を下すヤマハの技術陣だが、そういう意味では非常にいい線にまとまった味をもっているといえよう。
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3000rpm付近で敏感なレスポンス
この車のフィーリングの良さは、クラッチをつないだ瞬間に、ライダーの全身に伝わってくることだ。マルチエンジンにみられがちな、低速からの立ち上がりに一瞬ためらう気配もなく、アクセルの開きに対し、リニアなレスポンスで車を引っ張り始める。
また、シャフト・ドライブの宿命でもあるスタート時のリヤの浮き上がりも、かなり抑え込まれていて、異和感も少ない。ことに、車体を倒し込む様に作用する、トルクリアクションに関しては、エンジンレイアウトから全く問題はない。ミドルギヤボックスという手の込んだ方法を採用してまで、横置きクランクに固執した成果が大きく現れるところであり、シャフト・ドライブであることを、すっかり忘れさせてくれる。
加速感については、このクラスのエンジンをレッド・ゾーンまで回して一般道路で走らせることは、まずあり得ないし、その必要性もない。自然に走らせている時は、せいぜい4000rpmあたりまでの加速でシフトアップすることになる。
そして通常走行では5速で3000rpm、ほぼ60km/hの前後のスピードが最も、この車のツーリングと特性の良さが発揮できる部分だ。
というのは、この3000rpmあたりで発揮されるレスポンスは非常に敏感で、アクセルの操作で車が面白く動いてくれる。しかも、その時の力強い排気音の変化が、実に楽しい気分に誘い込んでくれるからだ。この味は、まさに3気筒ならではの味をいえる。
このあたりの回転域からのフルスロットルでの急加速は、一瞬のフラットスポットがほんのわずかに感じられるもの、一気に回転が上りつめるという感じである。スピードメーターの針は160km/hをスケールアウトするほどの駿足を発揮する。
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ニュートラルな操縦性
操縦性は、最近の傾向でもある軽快さを重視した味をもつ。スポーティーでシャープな操縦性をいう定評のあったTX500に始まるニュートラルな味付けが、そのままこの車にも生かされている感じだ。さらに細かく感じとれば、高速では、僅かなアンダーが倒し込みの初期に感じられる。ところが、一度コーナーに向かって倒れ込めばその後は全く、ニュートラルな特性を持続する。深いバンクの中でメインスタンドが接地しても、そのまま同じ感じで、まさに3点支持というコーナーリングを安心して続けることができるほど、思いのままにコントロールできる味を持っている。
従って、ハイスピードコーナーでの入り口では、フェイントをかけるような動き、つまり、一度反対側にアクションを起こしておいてコーナーにとび込めば、ピタリとラインが決まるという感じの操縦性があるのだ。
このように、かなりの車に無理な動揺を与えても、その反動で車が不自然な運動を始めるという傾向もなく、常に座りの良い安定性を示してくれる。大変扱い易く、乗り易い特性を持っているようだ。
160km/hを超える高速走行時に感じたことは、フルスロットルの場合に、僅かではあるが軽いヨーイングの発生が見られたことである。これは、上体を立てたり、向い風の場合に特に感じられる動きであったが、それ以上大きくなる訳でもなく不安を感じるほどのものではなかった。これはパワーオフの状態にすれば、直ちに収束してしまう性質のもので、ある意味では750ccの威力を感じる迫力のある動きでもある。
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ソフトなダブルディスクブレーキ
ブレーキに関しては、フロントのフォークチューブの変更に伴いキャリパーも新機構のスイング式を呼称するものに変更された。
これは、ブレーキディスクの対して、キャリパーがある角度をもってディスクをくわえている構造だ。従って、ブレーキパッドもディスクに平行しているわけでなく、ある角度を持つ面に加工され、パッドの摩擦に応じて徐々に平行状態になってくるという面白いアイディアだ。最終的に、パッドの残厚が1.5mmになると、キャリパーとパッドは、ディスクに対して完全に平行状態になる。このように、キャリパーに支点があって、左右にスイングするところからスイング方式といわれる。
これらの変更と同時にブレーキピストン側の径もGXの38.1mmからXS42.8mmと大幅に変更され、制動力の向上を計っている。ブレーキの味については、フロントは実に強力で、サーボ付きのブレーキのような効き味を発揮し、フロントタイヤを軽く鳴かせながらの制動も、2本指で可能なほどの効きをみせる。これは逆に、パニック操作時の効き過ぎが心配になるほどだが、ダブルディスク特有のソフトさを持つので、扱いは非常にラフであっても安定を損なうことはなさそうだ。
ただ、これは操安性にも関連することだが、コーナーリング最中のブレーキング、特に左コーナーでのブレーキングにはほんの少し、車が起きたがる傾向がみられた。
いずれにせよ、この車はレイアウトからして国産他車に例を見ないユニークな存在のため、走行中の感覚ではかなりの予測違いの場面に出くわしたことも事実だ。
例えば、スピード感についても、我々は、2気筒、4気筒の排気音、振動、さらにチェーンノイズなどに慣れ、それらのものから感覚的に走行速度を判断している場合がほとんどである。しかし、この車は、それらのものがすべて当てはまらない場合が多く、そのほどんどの場合は、かなりのオーバースピードでコーナーにはいってしまうことであった。
しかし、このシャフト、ドライブについても利点ばかりではない。安心して試乗のできるテストコースで、かなりハードな扱いをすると、シャフト特有の動きを示すことがある。例えば、シフトダウン後にタコメーターの針がレッドゾーン入り口に達するような急激な操作を、低段位であえて試してみると、チェーンドライブの車では一瞬のタイヤのなきと、僅かなリヤスキッドで納まる状態が、かなり急激なリヤの流れになって現われる。だが、そのリヤの暴れが、ハンドルの急激な振れにまでは発展しなかった。
これはまさにパニック状態のテストともいえるものだが、このような状態でも比較的、収束がよいということを知ることができた。
乗り心地は、ややソフト気味のようでもあり、硬い感じもする。というのは、大きいうねりなどの路面では、かなりの乗り心地良く感じるのだが、小さい突起状の路面、例えば、舗装路の割れた部分や、継ぎ目などでは、今までの動きに変って、ヘッド回りが垂直に突き上げられるようなシャープなショックが発生する。つまり、細かくシャープな突き上げの吸収が完全ではないのだ。
だが、ハイスピード、クルージングという、この車本来の使用法で眺めた場合のサスペンションは、うまくまとまっている。サーキット走行を含め、箱根の山中を一日走り回っても、サスによる操安性の破綻はまず感じられなかった。
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合格点の電装品
夜間走行では、オレンジ色の透過光で浮かびあがるメーターが、またナイトツーリングの楽しさを教えてくれる。スケール全面にむらのない照明は、高級感を盛り上げている。色を明るさの点では、他の灯りのない道路では、メーターに目を移した直後、一瞬眩惑されそうな感じがするほどのものであるが、60/50Wの強力ハロゲンランプ採用のヘッドライトに救われ、夜間走行の安全性は高いと感じられた。
電装品に関しても、各ライティング類に対する警告装置や、ポイントレス、フルトランジスタ点火など、高度なメカニズムとアイディアが採用されている。ACダイナモも12V-290Wと大型を用いて信頼性の向上を考えている。
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キャスティングホイール車をテスト
このXS750スペシャル(スポークホイール車)の試乗直後の5月13日にキャスティングホイールを装着した車が4種発表になった。内容的にはホイール以外の変更は全くなく、サスペンションセッティングもそのままということだ。
ホイールの剛性の向上から生じる乗り味の変化が焦点になったわけだが、結論から先に述べれば、極端な変化は感じられなかった。といことだ。ことに乗り心地が硬くなるという説についても、路面コンディションの良いテストコースでは、特に差を具体的に指摘するのは難しいほどのものであった。
ただS字コーナーなどでの急激な切り返しでは動きがシャープになり、車の動き方に無駄のない感じになったように思えた。また、最終のハイスピードコーナーの出口付近にある舗装の沈み部分に、斜めにとび込んだ後の揺れ残りが、キャストホイール車のほうが少なく、納まりが早いように感じた。
特に前述した急激なシフトダウンによるテールの流れ出しから生じる安定性の乱れについても、キャストの場合はより安定していた。左右への振れもネジレを伴うこともなく、車全体が一枚の板のように、はっきりした動きをみせ、滑りながらでもコントロールに余裕が持てる。またそれ以後の動き方が予測できるような安定性を示したことだ。
キャスティングホイール利害損失については、稿を改めて述べるとして、今回発売のキャストシリーズは、新しさとそのハードなムードで乗る車であろう。
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3車種の750
ヤマハの750ccシリーズは、先に述べたように、GX、XSスペシャル、そしてキャストのスペシャルと3機種が併売されることになったわけだ。GXはスポーツムード優先。XSはヤマハのいう“ゆとり”のムード。キャストは、このホイールが街中に氾濫するまでは、かなり自己満足できる車種ということになるというように感じられた。だがいずれの車も、その実質的な内容は、非常に高度なものを備え、高級車を断言するのに何の抵抗もないラインアップだ。価格についてみてもXS750スペシャルの49万8千円、キャスト付きの51万8千円はホンダのエアラに次ぐ高価な750cc車ということになるが、シャフトドライブを備えた750cc車として見れば、この価格は充分納得できる。
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