WHY / DISCHARGE
あなたはDISCHARGEというバンドの名を耳にしたことがあるだろうか?
80 年頃にイギリスで吹き荒れたハードコアパンク旋風の旗手であったDISCHARGE。短い期間に精力的に活動し、日本で評価されるころには活動のペースは落ちて解散してしまった伝説的バンドだ。
短い期間に数多くのシングルが発表されたがこの「WHY」は10曲入りのミニアルバムとして81年に発表されたDISCHARGEの、いやロック史上に残る最高傑作の一枚である。
10 曲入りといっても、一曲あたりの時間が極端に短いのでA面、B面全部で15分弱である。普通のバンドだと10曲あればフルアルバムとして発表し、50分前後の収録時間がスタンダードであろう。
この「WHY」は時間こそ他のバンドと比べ短いが、内容はめちゃくちゃ濃い!メッセージは一貫して反戦・反核を唱えている。サウンドもノイジーでメロディーは全くないが、多くのパンクスに支持され20年近く経った現在でもファンは多い。
DISCHARGEはボーカルのCALのバンドと考えていいと思うが、個人的にはギターのBONESも好きだ。彼はDISCHARGE脱退後、自らのバンドBROKEN
BONESを結成して、よりメタリックなサウンドを追求する。
自分 がDISCHARGEに惹かれる理由はたくさんあるが、サウンドはもちろん、バンドのスタンスに共鳴した。マスコミに屈しない硬派なスタンス、インタビューや写真嫌いでも有名で、笑顔の写真など見たことがない。ライフスタイルとしてハードコアパンクを実践していた数少ないバンドだ。
また、シングルやアルバムのアートワークも秀逸で、その後多くのフォロワーを生み出している。白と黒のモノトーンの配色で、戦争の悲惨さを訴求する写真を使用したり、鳩とナイフの組み合わせのデザインや、ドクロとナイフのデザインのもの、時にはサッチャー元首相のイラストレーションを使用したりと、ファンを飽きさせることがなかった。
NEVER AGAIN」という作品を発表し事実上解散したのだが、90年代に入り突如再結成したのには驚いた。
物議を醸しだしたアルバム「MASCRE DIVINE」発表後、来日が実現しクラブチッタ川崎まで見に行った。まさか、DISCHARGEの公演を見ることが出来るとは夢にも思わなかったので感無量だった。
「GRAVE NEW WORLD」以降のDISCHARGEには正直言って興味がないのだが、「WHY」と「HEAR NOTHING SEE
NOTHING SAY NOTHING(DISCHARGEのもう一枚の傑作アルバム)」はずっとフェイバリットアルバムであり続けるだろう。
余談だが、たのきんトリオ全盛期に「ハイティーンブギ」という映画で、近藤真彦がディスチャージのTシャツを着ているのを見たときは爆笑してしまった。たぶん、ドクロ柄ということだけでスタイリストが選んだんじゃないかと思うけど、マッチがDISCHARGEフリークだったら是非お友達になりたいと思うのである。
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