NEVER CAN EAT/THE
SWANKYS
日本パンクシーンを代表するバンドのひとつであるスワンキーズ。その中でも最高傑作である「NEVER CAN EAT」はいわゆる捨曲が一曲もなく、オープニングナンバー「オールド・ファッション」からエンディングナンバー「ノー・ボンデージ」まで一気に聞かせてくれる。北九州のパンクシーンから一気に全国的人気を得たのは本作からと考えていいのではないだろうか。
バンドの歴史はかなり古く、スワンキーズとしてバンドを結成してはいるが諸々の事情でGAIと改名。その後、再びスワンキーズとして活動し、一気に日本パンクシーンの雄として名を轟かせる。スワンキーズサウンドはオールドスタイルのパンクサウンドに、自嘲気味で心地よい歌詞が特徴。ボーカルのWATCHの人を食ったような言動が個人的に大好きだった。この作品は87年に発表されたが、87年というと日本はインディーズ・ブームに浮かれている最中で、数多くのバンドが雨後の竹の子のように現れた。
当時「宝島」という雑誌がインディーズをブームに仕立て上げて、自ら「キャプテン・レコード」なるレーベルを立ち上げる。当時、飛ぶ鳥を落とす勢いのウィラード、ジュン・スカイ・ウォーカーズ等をリリースしていた。そんなシーンにWATCHは唾を吐きかけるような言動が、アンチ宝島のパンクファンには胸がすく思いをしたものである。しょせん、キャプテン・レコードはJICC出版局(のちの宝島社)という大手資本によるエセ・インディーズ・レーベルだったし、かなり悪どいこともしていたと聞く。
スワンキーズの作品はソノシートのシングルが編集されたり、LPがCDで復刻されたりして、入手しやすいので是非一聴することを勧める。GAI時代のサウンドはイギリスのDISORDERを彷彿とさせる凶悪なノイズコアであるが、スワンキーズ名義で出ている作品はどれも聞き易い曲ばかりであるし、ノリやすい。テクニック的に小難しいことはしていないので、アマチュア・バンドの練習にももってこいだと思う。
ちなみに新宿ロフトで行われた解散GIGは、自分の見に行ったライブでも思い出に残るステージのひとつでもある。たしか、天皇崩御した日かその数日後だったと思うが、WATCHは小気味よいMCで観客を沸かせてくれた。
その後は伝説のパンクバンドとして、今でも光を失わず輝き続けている。(その後スペース・インベーダーズを結成。テクノサウンドにのって、相変わらずの毒舌歌詞で注目された。)
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