襲撃 / CHARGED
G.B.H
ディスチャージ、エクスプロイテッドとGBH。UKハードコアの御三家であるが、その中でも最もセールス的に成功したのはGBHではないだろうか。ハードコアパンクサウンドにメタリックなギターをフィーチャーさせ、ロックンロールのエッセンスをうまい具合に取り入れていろんなリスナーから支持されたGBH。
そのGBHの記念すべきファーストアルバムが「襲撃(原題:CITY BABY ATTACKED BY RATS)」である。
ディスチャージに比べ大変聞き易い楽曲となっており親しみやすい曲が13曲がぎっちりと詰まっている珠玉の作品。
時計がチクタクとなる音から始まるTIME BOMBから、ラストのBELLEND BOPまでどの曲もいい意味でキャッチーでポップ。
このアルバムの真骨頂は33分で13曲を一気に聴かせてしまう疾走感につきる。短い曲を畳みかけるように演奏するバンドは山ほどあるが、「襲撃」は曲数も一曲あたりの時間もほどよい感じでGOOD。
特にCDではなくLPやカセットで聴くとA面、B面の曲調の差が感じられて面白い。
A 面ではハード&ラウドな曲が多いが逆にB面にはちょっとテンポが遅い曲やロックンロールフレーバーいっぱいのBOSTON BABIES、BELLEND
BOP等の曲までバラエティに富んでいる。特にB面一曲目にあたる(CDだと8曲目)CITY BABY ATTACKED BY RATSの疾走感は尋常ではない。ハイハットの音が耳に残る。
ラストのBELLEND BOPは5分以上(!)の長い曲にも関わらず、超!かっこいいのでぜひ聴いていただきたい一曲。
どうしてもディスチャージとの比較になってしまうが、ディスチャージは一貫して「反戦・反核」を唱えている硬派なバンドだが、GBHはイギリス社会の閉塞感や女のことなどティーンエイジャーに身近な話題を歌っているし、曲にしてもすでに書いているようにバラエティに富んでいて、ディスチャージのようなハードコアパンク一辺倒サウンドではなくて聴いていて楽しめる。
個人的にはディスチャージの妥協のない姿勢に共感を覚えたが、GBHも大好きだった。ギターでコピーしていてもGBHの方が曲として演奏しやすかったし。
ブロンドのハリネズミヘアーがトレードマークのCOLIN(Vo)を始めルックス的にもあか抜けていて、雑誌のインタビュー等のマスコミに露出する機会も多かったせいもあり日本でも大人気だった。そういった面ではディスチャージとは正反対の姿勢だったが、広く親しまれたのはGBHだろう。ヘヴィメタルファンもROSSのベースプレイは上手いと言うし、JOCKのギターもメタルファンには聞き易かったと思う。そういう意味でジャンルの壁を越えて多くのリスナーをつかんだ数少ないバンドだと思う。
今でこそ、クロスオーバーと称してヘヴィメタル、パンクロックのいいとこ取りが日常に行われているが80年代中頃まではメタルとパンクは住み分けされていた、というか、いがみ合っていた状況を考えると特異なバンドであった。
ちなみに7曲目のI AM THE HUNTEDという曲は日本のパンクバンド、ラフィン・ノーズの「HELL HOME」という曲にそっくり!というか、ラフィンがマネしてるんだけどね…。
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