あぶらだこ / あぶらだこ
かつてはラフィン・ノーズのマルが在籍していたことでも知られるあぶらだこ。
83年くらいから精力的に活動していたが、まだインディーズに関心を持つ前なので全然知らなかった。
高校生になると友人も増えて、音楽の話ができる友人もできた。その彼から借りた自主制作レコードのオムニバステープにあぶらだこ、第三インターナショナル、エクスキュート、LSD、ビトウシャといったバンドが入っていて、ひときわ異彩を放っていたのがこのあぶらだこであった。
そのテープにはADKから出たファーストソノシートが収録されていたのだが、一般的なハードコアパンクサウンドとは違った過激さがあって目立った存在だった。
当時は、カムズ、ギズム等のバンドが好きだったせいもあってとっつきにくかったが、しばらく聞いているとはまってしまう不思議なあぶらだこワールド。残念ながらライブは一度も見ていない。自分が意識的に聞くようになった頃は徳間ジャパンのグレートパンクヒッツや、ADKからの12インチが出た頃で、ライブの本数も少し減ってきていたようだ。高校生だった自分には見たいライブを全部見れるほどのお金もなかったし…。
ヒロトモ氏の奇抜なメイクはハードコアにどっぷり使っていた小生には奇異なイメージしかなくてインディーズの中でも浮いた感じだったと思っている。浮いているというか孤高の存在かな。
あるバンドというかジャンルが流行るとフォロワーが生まれるのが常だが、あぶらだこの場合はそういうフォロワーがいなかったのも孤高さに輪をかけることになったのではないだろうか。いわゆる横のつながり、仲良しバンドというのもいなかったようだし(違っていたらスイマセン)。
その後、ばちかぶりというバンド名はあぶらだこを意識したようなバンドが出てきたがサウンド的にもバンドのスタンスとしてもフォロワーとは違うと思っている。ちなみにばちかぶりのボーカルは今でも俳優として活躍している田口トモロヲ氏である。
さて、本作は入手困難になっていた自主制作時代の音源をもとギズムのドラマーでもあるHIROSHIMA氏が立ち上げたOKレコードからリリースされたものである。ADK時代のファーストソノシートと、12インチEP、前出のグレートパンクヒッツからの音源にプラスしてライブ時の曲が4曲プラスされていて、当時買いたくても買えなかったファンにとってはビッグプレゼント的な一枚に仕上がっている。
ジャケット兼ブックレットには当時のスタッフのコメント等が載っていて、リアルタイムで経験出来なかった人には貴重な情報が多く、リアルタイムで体験していた人にとってはなつかしさがこみ上げてくることであろう。
このCDではパンクサウンドの初期あぶだだこがすべて詰め込まれており、本当に夢みたいな一枚。
30 過ぎて発売日前からCD屋に何回もチェックしにいくなんて久しぶりのことだった。この手のCDは発売延期になることも多いし、どの程度の数がリリースされるのかも見当つかなかったし。
あぶらだこは精力的に活動したインディーズ時代後、徳間ジャパンと契約しメジャーからリリースするようになったが、いわゆるパンクサウンドは影を潜めている。中には速くてパンクっぽい曲もあるのだが、基本的にパンクサウンドを期待していると裏切られることになる。しかしながら、どのアルバムもあぶらだこワールドが繰り広げられている。
登場時はパンクバンドとしてカテゴライズされていたが、今ではカテゴライズするのが非常に難しいと思う。
96 年にキングレコードからリリースされたアルバムはまだ聴いたことがないので、いつか絶対聴きたいアルバムの一枚である。
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